口腔外科

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睡眠時無呼吸症候群と歯科治療の関係

週末にSJCD 日本臨床歯科学会に参加してきました。最新の歯科の情報、トレンドを学ぶために外部の先生との交流は欠かせません。近年airway dentistry という言葉を目にする機会が増えてきております。かみ砕いて言うと呼吸の事まで考えた歯科治療とでも言いましょうか。睡眠時無呼吸症候群というとピンとくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。睡眠中に無呼吸、低呼吸を繰り返します。重度の睡眠時無呼吸になると8年後の生存率は63%という発表もあります。約40%が死亡すると考えると恐ろしい数字だと思います。(Mortality and apnea index in obstructive sleep apnea. Experience in 385 male patients.:Chest.1988 Jul;94(1):9-14.)また心臓血管疾患による死亡率も睡眠時無呼吸を有しない方と比較し約5.2倍高くなるとの発表や、睡眠時無呼吸の50%に高血圧を併発しているとの発表、糖尿病の発症率も高くなるとの発表もあります。(睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病:原因か結果か?(呼吸器)日本内科学会雑誌第108巻第4号)まさに、万病のもとです。歯科的な介入により睡眠時無呼吸を改善させられるのではないか、また不適切な歯科治療によって将来の睡眠時無呼吸を招いているのではないか、最近そのような話題がトレンドになってきています。咬み合わせを安定させ、口腔内の容積を広げることで舌が落ち込みにくくなり睡眠時無呼吸を改善できると考えられています。逆に不適切な治療によって睡眠時無呼吸を招く可能性があると思うと恐ろしく思います。矯正治療を行う際は改善できる方向に働きかけられる事が多いので必ずこのコンセプトを取り入れた方がいいと思います。日本でも現在進行形で歯科から睡眠時無呼吸にアプローチするための情報が今後リリースされると思いますので、学ぶ範囲はますます増えそうです。

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